桜の香りの元!?クマリンという謎の成分に迫る | アロマ的特異点 #05
深掘りすると色々な世界に通じているアロマ。
そんなアロマの魅力を、アロマセラピスト・ガーデンセラピーコーディネーターの「うのか」さんに教えていただきます。
第5回目は春といえばの「桜の香り」についてです。
毎月第3月曜日更新。
こんにちは!アロマセラピストのうのかです。
全国的に桜の季節です。東京はソメイヨシノは散ってしまいましたが、まだ八重桜が残ってます!
今回は季節に合わせたテーマ、「桜の香りはどんな香りなのか」についてです。
桜はバラ科の植物
桜はバラ科の植物として分類されていますが、「バラ科なのであれば香りがあるのではないか」と思われる方も多いです。
「植物の分類学」というのは芳香の有無で決まるのではなく、植物自体の特徴や花の形、そして育ち方などから判断した上で分類されてます。
といっても、桜に芳香が全くないということではなく、品種によって花からわずかに芳香を放つ桜も存在します。よく見かけるソメイヨシノの花からもごくわずかな芳香がありますが、人間の嗅覚ではあまり感じることはできません。
オオシマザクラやヤマザクラという品種には中程度の芳香があり、この2つの系統をかけ合わせた桜は「ニオイザクラ」と呼ばれ、花と香りの両方を楽しむことができます。
ニオイザクラは江戸時代にとても大切に育てられてました。現在では東京千代田区の駿河台の桜並木に植えられてます。
桜の香りはどんな香りなのか
実際の桜の香りはどんな香りなのかというと、甘めな香りです。先ほどのニオイザクラ系統の香りはヒヤシンスに似たような香りだそうで、サッパリした甘めな香りであるということになりますね。
この桜の芳香成分で知られているのは、ベンズアルデヒド、β−フェニルエチルアルコール、アニスアルデヒド、クマリンという4つの成分です。
ベンズアルデヒドはアーモンドっぽい芳香成分、β−フェニルエチルアルコールはバラっぽい芳香成分、アニスアルデヒドはスパイスっぽい香り、クマリンは桜の塩漬けの香りです。中でも「クマリン」という成分は他の植物やハーブにも含有されており、甘い香りがするエッセンシャルオイルを嗅ぐと「このオイルにはクマリンが入ってるっぽいな」ということがわかってきたりします。
クマリンは塩漬けか、枯らすと香りが出てくる
実はこのクマリンという成分は、植物が大きく成長するために他の植物を駆逐する役割なのですが、芳香成分としてもいい香りを放つという二面性がある成分です。
クマリンからいい香りを放出するには、塩漬けにしたり枯葉にすると出てきます。桜の塩漬けに熱めのお湯を入れ、立ち上がる湯気から香ってくるものが桜の花の香りになります。原始的なやり方ではありますが、季節限定の桜のアロマデュフューザーのようなものですね。
桜餅のような香りのエッセンシャルオイルが存在する
数多くのエッセンシャルオイルの中で、「桜のイメージ」というものに近いものが「トンカビーンズ」というエッセンシャルオイルです。
トンカビーンズはクマリンが主成分の植物で、桜餅を食べた時の香りになります。トンカビーンズはお菓子の香りづけとして使用されることが多いですが、最近はエッセンシャルオイルでも密かに人気があるので見つけたら一度嗅いでみてください。
桜は工夫すれば香りを楽しむことができる
桜の香りの研究は以前から行われており、特にオイルの抽出方法は様々な見解や推測が存在します。個人的には現存する抽出法以外の新しい抽出方法を考える必要があるのではないかと推測してますが、桜からエッセンシャルオイルをどうすれば抽出できるのかは未だに解明されていません。
いつの日か「サクラアブソリュート」みたいな名称のエッセンシャルオイルが登場する日を心待ちにしながら桜餅を食べたいと思います。
※この記事は個人の感想であり、効果・効能を示すものではありません。