道端に咲く草花の紹介。雑草ファイル04 「ツルボ 」|みち草さんぽ #04
デザイン会社に勤務しつつ、5歳の男の子を育てる一児の母のmaiさん。
写真を撮ることとお散歩が趣味の彼女は、お散歩中に見かける雑草が最近気になるそうです。
今回は、秋の始まりを感じさせる、可憐なお花がたくさん咲くあの雑草をご紹介していただきました。
毎月第3金曜日更新予定です。
こんにちは。maiです。
9月に入ってから急に過ごしやすくなって、気持ちの良い気候が続いていますね。
日中は多少の暑さもあるけれど、風が爽やかで心地よかったり、耳を澄ませば優しい虫の音が聞こえてきたり、のんびりベンチに座っていると木の葉がふわっと落ちてきたり、夕方になれば、とっても綺麗な夕焼けを見ることができたり…と、少しずつでも秋が着実に近づいてきているんだなーと実感できて、とっても嬉しくなります。
そんな私は、来月に運動会を控えている息子と一緒に、休日はかけっこ練習に励む日々。
先日も近所の公園で息子と二人走り回っている最中に、短く手入れされた芝生の中からスーッと美しく首の伸びた薄紫色の花たちが群れになって、とっても綺麗に咲いている姿を目にしました。日の光がちょうど当たって、なんともいえない気持ちの良い光景だったので、息子にお願いをしてちょっぴり休憩時間をもらい、ほんの少しだけゆったりときれいな姿を眺める時間を過ごせました。
雑草ファイル04 「ツルボ」
キジカクシ科 / 多年草 / 花期:8~9月 / 草丈:15〜40cm
1本のスーッと伸びた細長い茎の先に、小さな可愛らしい花たちを穂状に咲かせているこのツルボ。
雑草とは思えないくらい(と言ったら雑草たちに失礼かもしれませんが)可愛らしく、実際に観賞用としてご家庭のガーデニングで育てている方も多いのだとか。
ガーデニングで育てる場合には、肥料も特に必要なく、病害虫の心配も特になし!
土が乾いたら晴れた日にたっぷりとお水をあげれば良い程度で、庭植えの場合であれば特に水やりの必要もなく、降雨だけで大丈夫とのこと。さすが雑草!というだけあって、お手入れも楽チンみたいです。
ツルボの葉っぱは、1年に2回、春と秋ごろに出るのですが、花期は8月から9月にかけて秋風がちょうど吹き始める今頃。
この小さい花たちは、下の方から順番につぼみが開いていくそうです。開いたお花はなんだか線香花火のようでとっても愛らしい姿。開く花数が多くなる9月頃までは、ひっそりと人知れず咲いているので、ちょうどその時期にならないとなかなか気づきにくいかもしれません。
ツルボの花言葉は、「誰よりも強い味方」「流星のような」「不変」「我慢強い」「風情ある」「寂しさ」「悲しみ」と、幅広い意味合いがあるみたいです。秋になるといくつもの小さな花が開きだすこの姿は確かに「流星のような」という花言葉にも納得です。
ツルボは食べることも出来るらしく、戦時中の飢饉時には救荒植物として利用されてきたそうです。
葉茎はもとより、鱗茎にでんぷんがたくさん含まれるので、鱗茎を水と一緒に長時間煮て、糊状に成った後、団子餅にして食べていたのだとか。
今ではほとんど食べることもなくなり、毒性もあるらしいので、よほどのことがない限り食べない方が良さそうですね。
そんなツルボ、薬草としての効果もあるんです。
昔から皮膚病や神経痛、火傷、切傷などを負った際に、ツルボの球根をすりつぶして湿布薬として使用され、驚異の薬効を発揮して重宝されてきたそうです。今では、医薬品の主成分に使用され、大学で研究が進み、実に様々な症状に効能があることが研究により分かってきています。
夏の終わりから秋にかけて花を見せてくれるツルボ、今の時期はちょうど見かけることが多いと思うので、ぜひ気にして見てみてください。私が見かけたツルボたちはどれもスラッとした細身なタイプの子が多かったのですが、中にはお花をフワッフワに開かせたボリューム感のあるタイプの子もいるみたいなので、一度お目にかかってみたいです。