美しく品のある秋の果実「紫式部」 | 花と植物とイロドリLife #14
ボタニカルブランド「hakumokuren」主宰のmiwaさん。Museum of plants -植物の美術館-をコンセプトに、アクセサリーやフラワーアレンジメントなどのデザイン、製作を手がけています。ITFA公認フラワーアレンジメントベーシック取得。趣味は愛犬との日々。日常をちょっとだけ特別なものに彩る植物のある暮らしをテーマに綴っていただきます。今回は、紫色の実が美しい秋の果実「紫式部」についてのご紹介です。
毎月第3月曜日更新予定です。
みなさんこんにちは。
hakumokurenのmiwaです。
夏も終わり、秋めいてきましたね。
夏は、海、空、花火と爽快な雰囲気が好きなのですが、今年は酷暑が続き、涼しい秋が恋しいと思うことも多かった私。
実際8月下旬ごろから秋の気配がし始めると、なんだか夏が恋しくなったりして、家事をしながら森山直太朗さんの「夏の終わり」を口ずさんだりして…。と思えば、夕方の愛犬との散歩道、コスモスが澄んだ涼しい空気に揺れる秋の風景に、やっぱり秋っていいなと思ったりと、日々恋愛ドラマのように季節に翻弄されています。笑
さて、秋といえば果実の季節。様々な場所で目にするようになりますね。ポピュラーなところでいえば柿、栗、りんご。どれも美味しそう!と食欲ばかりに気をとられますが、視点を変えて見ると、どの果実も表面に艶やざらつきなどの質感や様々な色味があり、個性豊かで魅力的です。
今回はそんな秋の果実の中から、紫色の実が美しい「紫式部」について綴ります。
「紫式部」と聞いて、歴史上の人物を連想する方が多いのではないでしょうか。そう、紫式部は平安時代に一条天皇の中宮に仕える貴族の女性で、光源氏の恋愛模様を描いた源氏物語で有名な人物。とても才能のある女性だったと伝えられており、そんな女性の名前がついた植物、とても興味が湧きます。
紫式部はシソ科の日本原産の植物で古来から山地や森林に生息していたそうですが、現代では身近な場所で生育していて、近所をお散歩していると、庭木として植えられていたり道端にタネが飛んで生えていたりよく目にすることができます。
葉っぱだけを見るとシックな風貌で見落としてしまいそうですが、特徴は秋につける果実。英名では“Japanese beauty berry”とも言われており、果実一つ一つは小さいけれど綺麗な球体で、十二単の中にある紫色のような品のある色が特徴です。
写真は9月上旬に撮影したもので、この緑から紫色へ移り変わる姿も風情があって素敵でした。紫式部も冒頭で挙げた果実のように食べられるのかと気になり調べてみたのですが、毒性は無く食べられなくはないとのこと。実はちょっと好奇心に駆られて食べてみたのですが、なんと渋みやクセもなくほんのり甘みを感じました。
鳥もついばむそうですが、どこで見てもびっしりと果実がついたままなので、動物界ではそんなに美味しい果実というわけではなさそうです。
また主催しているボタニカル ブランド“hakumokuren”でも紫式部を使ったアクセサリーを仕上げています。
紫色は古来では染色に時間がかかり貴重な色だったことから、この色の洋服は高貴な地位の人しか纏えなかったそう。また、丸いフォルムは女性らしさを、さりげなくきらめく金の箔は華やかな平安時代の宮中を想像できて、身に付けることで厳かな気分になれそうなアイテムです。
hakumokuren
しずくの耳飾り
紫式部
花言葉は上品と知性。どちらも兼ね備えたい魅力的な言葉。他にも紫色は感性を鋭くしインスピレーションを高めてくれる色だそうで、食欲の秋に続き、読書の秋、芸術の秋にもぴったりなカラーですね。
たくさんの楽しみ方がある秋。美しく品のある紫式部の実を身につけることで、より素敵な秋を楽しめますように。
〈hakumokuren 出展情報〉
9/26(月)〜10/2 (日)大船ルミネウィング
〈hakumokuren 常設店舗情報〉
暮らしと雑貨と集いの場Perch
東京都世田谷区祖師谷3-31-19 (小田急小田原線 祖師ヶ谷大蔵駅 北口徒歩2分